雨の日のくじらコーヒー

好きなことをぽつりぽつり。

言葉選び

先日、メガネを新調した。憧れの鯖江のメガネをついに手に入れた。

丁寧に視力測定をしていただいている中で、店員の方が「少し目の調整機能が弱ってこられているようです」と穏やかに微笑みながら言い、今の私の目にちょうど良いと思われるレンズを紹介してくれた。

簡単に言ってしまえば、私の目は「老眼が始まってますね」なのだ。

自覚症状はある。時計の日付が見えにくくなり、ちょっと遠ざけないとピントが合わない。

ただなんだかまだ認めがたくて、コンタクトレンズは「今のままで大丈夫です」と言い続けてきた。そして同い年の同僚と、意地張るのはやめないと、本当に見えないよね!と笑い、次のコンタクトレンズの購入時は「近くが見えにくくて」と言おうと誓いあっている。


そんな中で、メガネを新調したわけだが自ら申告する勇気は相変わらずなく、まあメガネ外せば近くは見えるし、と思っていたのだが、丁寧な測定で私の老眼はあっさりと露呈した。

そして店員さんからの穏やかな指摘。

感心してしまった。なんて柔らかい言い回し!私も抵抗なく、腕時計問題をするすると話せた。


店員さんに勧められた「まだ遠近両用を使うには早いけれど、あると便利な状態の方」向けのレンズは彼のオススメ通り、お気に入りの腕時計の小さな小さな日付表示をクッキリと見せてくれ、私はすっかり嬉しくなって、値は張るけれどそのレンズを使うことにした。

丁寧な接客、柔らかい言い回しで、私は予算オーバーながら、満足のいく買い物ができた。


そしてまた別の日。

体の不調があり、かかりつけ医に紹介状をもらい、総合病院を受診した。

最初の問診をした看護師さんや、血液検査の受付の方たちは感じ良く、待ち時間が長くなることを申し訳なさそうに伝えられても、笑顔で問題ないことを答えられた。


二時間あまり待った後、医師の診察があった。

座るなり、医師は

「数値はなんの異常もないですね。まあ更年期の始まりとかかもね。まあ神経質にならなくていいでしょう。指の痛みもないようだし」とあっさりと言った。

「...指の痛みはありますけど」

私の状態は看護師がしっかり聞いてくれていたが、医師はパソコン上でその情報の一部をコピペして、特に読んだわけでもなさそうだった。

私の痛みは「気のせい」扱いになるのだな、エビデンス(物理的証拠データ)がないから。

医療とはそんなもんだろうと理解はしている。

ただ、やはり言い方というのは大切だよな、と思った。


たまたまメガネと病院の日が近く、同じ「私の老化問題」に関する表現が出てきたがために、よけい両者の違いが際立った。

かたや客商売、かたや医師、比較するもんじゃないと言われるかもしれないが、言葉を操るのは同じ人間。語彙力、コミュニケーション力、そして相手への配慮の有無は職業は関係ないと思う。実際、配慮ある表現を心がける医師に、仕事絡みでたくさんお会いしてきている。


ちょっとした一言で人の気持ちは変化する。


自分も表現には気をつけたいと思います。

相手の気持ちを大切に。